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~第五話②~ 月世界の処刑

Author: 倉橋
last update Last Updated: 2025-07-31 20:42:58

 屋敷前の歩道を渡っているのはアマンと兵士だけではなかった。

「あれはサライと娘ではないか?」

 ベールの女性がつぶやいた。

 アマンの後ろ、二人と三人の兵士に前後をはさまれ、一組の母娘が歩いていた。第一話の最終章で登場したサライとリルの母子である。もしここに朝井悠馬がいてサライを見たら、すぐに驚いて駆け寄ってきただろう。

 悠馬のよく知っている女性だったからだ。

 サライは三十歳くらいの髪の長い女性である。イエローのワンピースを着せられ、ブラックのハイソックスを履いていた。セレネイ王国で、女性の囚人が着せられる一般的な衣装であった。まだ三歳くらいの娘、リルはピンクのワンピースに、ホワイトのショートソックス。

 ふたりとも鎖で後ろ手に縛られて数珠つなぎにされていた。リルは大声で泣き続け、サライは何度もリルの方を振り返っては兵士にこづかれたり、ひっぱたかれたりしていた。

「さっさと歩かんか」

「反逆者め」

 アマンが後ろの様子に気がついて眉をひそめた。

(これ以上、ひどいことをするのなら止めなければ……)

 そしてもうひとり、屋敷三階のベランダからこの様子を見ていたベールの女性が、おもむろに立ち上がり歩道の様子を見つめる。 

「セレネイ王国情報調査部の幹部がどうしたというのか?」

 ベールの女性がつぶやいた次の瞬間、その黒づくめの姿は歩道にあった。サライとリルの母娘を連行する最後尾の兵士のそばにいた。

「下郎《げろう》」

 ベールの女性が横柄な口調で呼びかける。兵士が振り向く。黒づくめの女性を不機嫌ににらみつける。ベールの女性は兵士の態度には関係なく続ける。

「答えよ。あの母娘《おやこ》は一体何をした」

 兵士が軽蔑の眼差しを向ける。

「何だ、お前に関係あるかよ」

 兵士が女性のベールを手にし、思いっきり引き上げる。乱暴に上げたため、はずみでペンダントがちぎれて歩道に転がった。

 ベールはすぐに下ろされた。兵士はワナワナ震えながら後ずさりする。両目からはどっと涙があふれた。

「お許しを。私は……何も知らず……」

 先頭にいたアマンが振り返り、顔色を変えて走り出す。

「お願いです、お許しください」

 兵士が膝をついて手を合わせる。涙が歩道の石畳を濡らした。

 ベールの女性の体が一瞬、かすかに前後に動いたように見えた。

 空に響く悲鳴。歩道に飛び散るどす黒い血と肉片。それですべてが終わった。赤とピンク、白の肉片があちこちにこびりついた頭蓋骨が、大きく口を開けたまま、血の海を転がる。

 アマンは沈痛な表情で、歩道に広がる血の海を見下ろした。

「ムーン・ラット・キッス女王、ご無礼をお詫び申し上げます」

 アマンは腰を落とし、軍隊式の挨拶をした。

「この兵士は過ちを犯しました。ですが私は、あなたが寛大な人間であって欲しかったとも率直に思っています」

 アマンは血の海の中の頭蓋骨に目を向けた。

「この兵士には家族がいました。まだ赤ん坊の息子……」

 ベールの女性はアマンを見下ろした。

「命令だ。そのペンダントを拾え」

 アマンはペンダントに気がつき、手を伸ばす。

「早く私に返せ」

 ベールの女性はペンダントを受け取ると、愛しそうに右手に握りしめた。

「ごめんね、悠ちゃん」

 ベールの女性がつぶやいたが、アマンにはハッキリ聞こえなかった。次の瞬間、ベールの女性は大声をアマンに向けていた。

「処刑は一瞬で終わった。罪《つみ》びとの家族の話もだ。今より私の質問に答えよ。サライの母娘《おやこ》をどうする?」

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